当会は、中野区医師会を通じて区内の医師より依頼された食事指導を行っています。
糖尿病の件数が多いのですが、近年では糖尿病から慢性腎臓病(CKD)に移行する糖尿病関連腎臓病の患者さんが増加傾向にあります。今年度は月に1回、食事指導を行っており、指導を受けた患者さんのうち5人に1人がCKDの患者さんでした。
今後の対応に備え、必要な知識と技術の習得や再確認のため、中野区医師会の先生方にご協力いただき、CKD勉強会を開催しました。
まず最初に、クリニカル南台 細谷直人先生による基調講演がありました。
今回の目標は以下のとおりです:
①糖尿病関連腎臓病を含むCKDの知識を深めること
②患者さんに対してわかりやすい説明ができるようになること
③患者さんが実行可能な栄養指導の提案を一緒に考えること
講義を通じて、腎臓の機能やCKDの重症度分類の解説、蛋白尿の評価など基礎知識をおさらいし、最新情報を得ることができました。
次に、腎臓病の食事について医師と栄養士がディスカッションを行いました。
腎臓病食の基本となるたんぱく質制限と減塩について、医師と栄養士はそれぞれどのように患者さんに伝えているかを述べ、数値ではなくわかりやすいポイントを共有しました。
特に高齢者にとって、たんぱく質制限や減塩は必要な対策ですが、フレイル予防の観点からはたんぱく質制限はサルコペニアを招きやすく、減塩では食欲不振になり、食事量やエネルギー量が取れなくなるリスクがあり、厳しくしすぎないようにすることが重要。また、糖尿病食で指導していた患者さんが腎臓病食になった時の指導の難しさについて意見が出ました。
家庭環境や経済的事情で、お惣菜利用が多い方や、低たんぱく米などの低たんぱく食品が購入できない方もおられ、個々の事情に配慮し、無理なく続けられる提案をしていくことを皆で話し合いました。
ディスカッションのなかで食事指導の実際について話が及び、1回の指導では説明しきれない場合、次の指導予約を入れられるようにしたい、という意見が出ました。
医師の講義を聴く機会は多くありますが、意見交換をする機会は滅多になく、互いに連携して患者さんに向きあっていることが強く感じられ、貴重な機会となりました。
この勉強会で得たものは多く、次からの食事指導に活かしてまいります。
最後になりましたが、ご多忙の中、この勉強会の開催にご尽力いただいた山田先生、講師の細谷先生、ディスカッションにご参加いただいた宇野先生、長濱先生に厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。